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”霧(kiri)”

自分で楽しんだ登山の記録を思い出しながらもう一度楽しんで書いています。 このブログを見ていただいた人に山や自然に興味をもっていただき、そして好きになって頂ければとてもうれしいです。 更にコメントをいただけるとなおうれしいです。コメントは山行名をクリックすると一番下に投稿欄が出ます。
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クライミング ヘルメット 事故

2012年12月12日に湯河原幕山の喜望峰エリアにあるシャクシャインというルートでクライミング中の死亡事故がありました。
・事故のあらまし
 当事者(本人と同行者)は私の友人の知り合いで、友人は別のグループで幕山(桃源郷エリア)に行っていてたまたまその事故を見かけたのでその人から聞いた話といくつかのブログに掲載された情報によると概ね以下のような状況のようです。
 ①60代男性
 ②リードクライム
 ③3ピン目(下から3つ目のボルト)にロープを架け忘れ、ピンが腰のあたりに来たときに右手でロープを架けようとしたとき墜落した。グランドフォールはしなかったが途中で後頭部を岩にぶつけてしまった。
 ④ヘルメットはしていなかった。
 ⑤小田原市(湯河原町?)の救助隊に担架で搬送されているときは意識があり、熱海の病院に入院した。
 ⑥翌日の夕方同病院で亡くなった。
 ⑦友人を通じて聞いた同行者(達?)の感想は「ヘルメットを被っていれば助かった可能性が高い」とのことだった。

フリークライミングは危険
概要は以上ですが私が注目するのは「ヘルメットを被っていれば・・・」です。残念ながら現在のクライミングは危険です。これはJFA(日本フリークライミング協会)でもそう明言しています。
一般にクライミング(岩登り)はアルパインクライミングとフリークライミングに大きく分けられ、区別の仕方はいろいろありますがアルパインは落ちてはいけないクライミングでフリーは落ちることを前提としたクライミングという分け方をよく聞きます。これを言い換えればフリーは「落ちてもいいから思い切ってやれ」と言うことです。だから落ちても途中で止まるようにロープで確保しています。しかし止まるまでの間は身体は硬い岩にぶつかりながら落ちるのです。(ハングなら空中だけど)ルートが鉛直上に真っ直ぐであれば下に落ちるだけですがほとんどのルートは大なり小なり曲がっているので止まってから(厳密には止まる前から)横に振られることになります。このとき横の岩に激突します。これはリードクライムに限らずトップロープクライムやセカンドで登るときも同じです。
更に転落するときの姿勢は横になったり頭が下(逆さま)になったりするのです。最初は頭が上でも途中で足が岩に接触すれば逆さまになるし、元々ロープは身体の重心より下に結んであるので逆さになるのは当たり前でなのです。
危険は転落する人だけではありません。下で確保している人にも上からいろいろなものが落ちて来ます。石や岩(落石)、登攀道具(クイックドローや確保器)、場合によっては人、笑い話のようですがアイゼンが付いた登山靴が落ちてきたこともあります。
人の身体は岩には勝てません。手や足なら打撲や骨折で済みますが頭はそうはゆきません。岩にぶつけたり、落下物が頭に当たれば堪ったものではありません。打ち身や骨折では済まない死亡を含む重大事故に繋がる可能性が非常に高いのです。

ゲレンデは無帽(ノーヘル)クライマーで一杯
21日の幕山は風もなく、南向きでさんさんと陽が注ぎ、陽だまりの岩場に100人前後(多分)の老若男女のクライマーが思い思いに散らばってクライミングを楽しんでいました。冬休みとあって子供や高校生のグループが親や指導者に引率されて来ていました。私たちも一番易しいルートで楽しみながら、ふと見ると殆どの人がヘルメットを被っていない(これを以後ノーヘルと言います)ことに気付いたのです。2週間前にヘルメットを被っていたら助かった可能性高い死亡事故があったにも関わらず殆どの人がノーヘルです。事故があった同じルートもノーヘルで登っています。この人たちはなぜヘルメットを被らないのでしょう? クライミングが重大事故を起こす危険なものであると考えてないのでしょうか?もしかしたらノーヘルは命に勝るメリットがあるのでしょうか?いくら考えてもノーヘルのメリット(理由)が分からないので、いつもノーヘルの友人数人に聞いて見ました。
答えは
①被った方が良いと思うけどみんなが被っていないので何となく被り難い。
②ゲレンデは整備されているので落石はや転落の危険は無いので必要ない。
③自己責任なので好き好きだ。
④危険そうなところは被るが安全なところは被らない。
⑤トップロープで安全だから。
⑥パフォーマンス(格好良さ)が大事だから。
⑦ムーブに影響するから
 そして中には
⑧転落するのはその人の技術が低かったり準備不足なのだ・・・と言う様な意見もありました。
それぞれ理由は違うように見えますが共通して”フリーは安全”“自分は大丈夫”という考えがあるように思えます。そして私も答えを聞いているときは分かったような気になるのですが後でやはり「ウッ?」と首を傾げるのです。なぜなら現実に死亡事故が起きているからです。
おそらく死亡事故の陰にはもっと多くの骨折や打撲事故があるのでしょう。ヒヤリとするのは更に多いでしょう。
打撲や骨折なら時間が経てば治ります。でも死んでしまったら終わりです。ヒヤリの先には取り返しのつかない死亡事故が確実にあることを自覚して欲しいのです。12月12日に事故された人も過去にも何回か転落を経験されていたとか。もちろんヘルメットを被れば安全とは言い切れません。がダメージを小さくすることは出来ます。死亡事故を少なくすることは出来るのです。
救助隊の出動を要請するような事故は本人の人生を遮断し狂わせたりし、家族に大きな悲しみや苦しみを与えます。そして社会的にも大きな損失なのです。
ゲレンデの近くに住んでいる人は私たちクライマーをどう見ているでしょう。自治体はどう見ていて、どう対応するでしょう。クライミングは危険な行為、クライマーはアウトロー(無法者)、ゲレンデは危険な場所と思われないでしょうか?そう思われたら立ち入り禁止になってしまうでしょう。

ノーヘル(無防)をゲレンデから無くしましょう
全てのノーヘルの人に聞きます「あなたはどうしてヘルメットを被らないのですか?」
多くのゲレンデにはそこを利用するクライマーが相互に呼びかけあって安全なゲレンデ造りやクライマー同士のマナーや樹木の伐採禁止や岩に手を加えない自然保護、駐車マナー、また地域の人や自治体との共存を目的に清掃活動、場合によっては地主との話し合いなどをやっています。そしてそれは一定の成果を挙げています。しかしそれだけで事故を少なく出来るでしょうか?地域住民や自治体からの“立ち入り禁止”を思いとどまってもらえるでしょうか?答えは否です。事故防止が不可欠です。
JFAは「落石の恐れのあるところではヘルメットを着用・・・」と言っています。でもこれは“普段はノーヘルでもいいよ”と言っているのと同じです。HPにもノーヘルの写真を掲載しています。これではクライミングから事故を失くすことは出来ません。が、前にも書きましたがヘルメット着用は確実にダメージを小さくすることが出来ます。ヘルメット着用は確実に死亡事故を減らすことが出来ます。だから”クライミングはヘルメットを着用して・・”に考えを変えてください。
自分やパートナー、友人が死ぬ前に、ゲレンデへの立ち入り禁止を受ける前にクライマー自らノーヘル(無防)をゲレンデから無くしましょう。自主規制、自主管理しましょう。それが今から出来る(しなければならない)ことです。その発想がスポーツ(遊び)の出発点だと思います。
・どうか、このブログを読んでいただいたクライマー(少ないけど)はヘルメットを着用してください。そして友達に伝えてください。
以下の人が私のブログに立ち寄ってくれるとは思えませんが一応?お願いします。
・初心者にクライミングの技術や楽しさを教える指導的立場の人は率先してヘルメットを着用し、初心者に指導してください。
・ガイドさんは客にヘルメットを着用させてください。(もちろん自分も)
・コンペ(競技会)ではヘルメット着用を義務つけてください。(義務付けられていると思いますが念のため)
・山岳雑誌はクライミング写真掲載時に安全普及の観点を取り入れてください。
・報道関係は山岳事故報道の際、再発防止に役立つ情報を提供してください(勿論事実をありのままに)
もう一度お聞きします 「それは命よりも家族の悲しみよりも大事なものですか」

明るい兆しも見えます
・ ノーヘルの理由①をくれた友人がその後勇気を出してヘルメットを着用してくれるようになりました。拍手!
・ 私の今のパートナー二人もヘルメット派です。拍手!
・ 21日の幕山にも数人ですがヘルメット着用の人がいました。拍手!

12日に事故した方が残してくれた教訓は少しずつですが生かされ実っているように感じます。
                                               清水菖司 
end
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[ 2012/12/31 10:06 ] その他 | TB(0) | CM(2)
少しですが
本当に少しですが「管理者にだけ表示・・)で同じ思いを持っていられる人や行動を開始された人からコメントをいただいています。
一方ノーヘルを大事にされている人もおられます。
今は未だ着用を進める努力は背丈を越える新雪(深雪)をラッセルしているようなものですが着実に前進しているように思います。
一人でも頭蓋骨陥没事故を減らすように”大きなお世話”を続けたいと思っています。
[ 2013/03/15 00:39 ] [ 編集 ]
ヘルメットで安心感を^^/
私も以前はフリーの時はヘルメットを被っていませんでした。
被らない理由は、誰も被っていなかったし、髪がペチャンコになるのも嫌だったし・・
それどころか、フリーはいいなぁ~、沢みたいにヘルメットを被らなくていいし・・
などど思っていました。
でもヘルメットって一度被ってみると分かりますが、頭が守られている安心感があるのです。
デザインも色々あり、とてもお洒落なヘルメットも売られています。
ヘルメットで、安心してフリーを楽しみましょう♪
[ 2012/12/31 12:26 ] [ 編集 ]
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Author:ucon
団塊世代前の自称”昔の山男”です。仕事に追いまくられている間は山どころではなかったけど、定年を機に青春を懐かしんでまた登り始めました。これからドンドン友達を増やして、青春を取り戻そうと目論んでいます。・・が、2年前に変人(片腎(腎臓を1コ切除))になってしまいましたので、ガンガンは無理だよな~~・・分かってはいるけど・・おまけに性格も悪いしな~
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